精神科OTのブログ(仮)

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精神科の作業療法士が知見や考えをシェアしています。

ゲームするほど頭が良くなる!?

現在、「“ゲームをするほど頭が良くなる”という研究結果が出た」と、とある論文がたくさんのネット記事になって紹介されています。 https://www.nature.com/articles/s41598-022-11341-2 Googleで「ゲーム 知能」と検索すると上位5位くらいまでこの論文につ…

心理教育のコツ~抵抗を扱う~

Adherence Therapyのマニュアルを読み進めています。 Cornerstones of the adherence approach Exchanging information Dealing with resistance Dealing with resistanceをみてみます。 まずは直訳。 抵抗は、薬についての緊張や意見の相違があるときに生じ…

アルコール使用障害の人が「飲んでません」と言った時にどう対応するか

アルコール使用障害の患者さんが「酒飲んでません」と言ったら、返す言葉は「辛くないですか?」です。これ、河本泰信先生が紹介している方法で、私はいつも意識して使っています。 アルコール使用障害、中でもDSM-Ⅳまでの診断では依存症とされるような比較…

病識を持たせる方法はあるのか

そもそも病識の有無を患者さんの発言から単純に「ある」「なし」のように判定するものでもないです。 ioriiba.hatenablog.com そして、患者さんに病識を持ってもらうということが、本当に必要なことなのか、病識を押し付けることへの疑問も持ったほうがいい…

病識はある方が良いのか

精神科医療では患者さんに病識を求めがちです。 患者さんにご自身の病気について正しく理解してもらい、マネジメントに努めてほしいと願うのは当然のことです。しかし、患者さんが病識を持たないことにも意味があるのかもしれません。 Lysaker(2018)は統合…

病識に影響する要素とは

過去記事にて、精神疾患、特に統合失調症における病識とは何かについて確認しました。 ioriiba.hatenablog.com 自身の何らかの変化が精神疾患に基づくと考える 精神科の治療を受け入れる 精神症状を認識できる 我々が一般的に病識と言っているものは、これら…

心理教育のコツ~情報を交換する~

Adherence Therapyのマニュアルを少しずつ読んでいます。 Cornerstones of the adherence approach Exchanging information Dealing with resistance 今日はExchanging informationを見てみます。 まずは直訳。 「セッション中ことあるごとに患者の理解を確…

精神疾患の”病識”とは

あの患者さんは「病識がある」、とか「病識が無い」とかよく言われます。 「病識まではいかないけど、病感くらいはありそう」などと言うこともあります。 統合失調症が代表する内因性精神病のコントロールには治療アドヒアランスが重要な要素ですが、ここに…

2歳児に鼻かみを教える方法

2歳児に鼻かみを教える方法が上手くできたので報告します。 結論から言うと、ティッシュを丸めたものを鼻に入れ、それを飛ばす遊びを通して鼻かみの感覚を掴んでもらう、というものです。 だいぶ前ですが、テレビで見た保育士さんがやってた方法で、なるほ…

ジムニー(JB23)ベースキャリア(TERZO)取り付け

GWは県内から出ることもなく、ほぼ自宅周辺で過ごしました。 で、奥さんからの提案で、お互いに半日程度の休み(子供からの解放)をもたらすということになりました。一方が子供2人を引き受け、その間一方が自由時間を得るということですね。 と言っても私…

精神疾患は病気か

精神医学は病気をでっちあげていて、本来は病気じゃない人を薬漬けにしている、人権侵害をしている、みたいな批判をする反精神医学の運動があります。はてなブログでも運動をしている人たちがいます。 私はけっこうそういうのを見聞きするのが好きです。 日…

心理教育のコツ~自尊心を育む・正確な情報提供~

Adherence Therapyのマニュアルを少しずつ読むシリーズです。 PROCESS SKILLS Working collaboratively Set a clear agenda Emphasise personal choice and responsibility Enhanced self-efficacy Build self-esteem Safety 今日はBuild self-esteemとSafet…

子育てとTSD法

当たり前のことですが、小さい子供は病院での処置を嫌がります。 侵襲性があり、痛い処置はなおさらです。 しかし、中には別に痛くもないんだけど、「何かされる!」っていうだけで拒否反応を起こしてしまう場合もあります。 子供になんらかの医療的処置を施…

子育てと応用行動分析

我々OTやいろいろな対人援助職の人々は、日頃、仕事で使う知識や技術を子育てにも使おうとすることがあると思います。 でもあまりうまくいかないことは多いですよね。 やっぱり家族だと感情が先走っちゃうからでしょうか。 そんな中で、成果を上げた介入も…

心理教育のコツ~自信を高める~

Adherence Therapyのマニュアルを少しずつ読むシリーズです。 PROCESS SKILLS Working collaboratively Set a clear agenda Emphasise personal choice and responsibility Enhanced self-efficacy Build self-esteem Safety 今日はEnhanced self-efficacyで…

ロジャーズによる面談の方向付け

今日も職場で動機づけ面接(MI)勉強会やりました。 今日の話題はチェンジトーク(変化に向かう言葉)の認識です。 しかし、チェンジトークと言うからには、目標となる変化、”標的行動”が必要になります。的が無ければ、正しい軌道がわかりません。標的行動…

聞き返しの強弱

今日も職場で動機づけ面接勉強会がありました。 今日のテーマは聞き返しの強弱でした。 強弱ってなんだよ、って感じですが、ざっくり言うと、クライエントの言ったことをぼかし、程度を下げて伝え返すのが弱めの聞き返し。逆にクライエントの言ったことを増…

自殺の対人関係理論と実際の感覚

精神科のスタッフとして頭に入れて置いた方がいいなと思うものの一つにJoinerの「自殺の対人関係理論」があります。一方、実際に患者さんが亡くなってしまうと、「まさか」と思うし、それを予測し介入することはおそらくできなかっただろうなと思ったりもす…

尺度化の質問

先日、職場での動機づけ面接勉強会がありました。 内容は「引き出す質問」と「リアルプレイ」。 引き出す質問とはチェンジトーク(特定の行動変容に向かう発言)しか答えられない質問のことです。 引き出す質問→聞き返し→聞き返し→引き出す質問→聞き返し→聞…

心理教育のコツ~自律性の強調~

Adherence Therapyのマニュアルを見ていくシリーズです。 PROCESS SKILLS Working collaboratively Set a clear agenda Emphasise personal choice and responsibility Enhanced self-efficacy Build self-esteem Safety 今日はEmphasise personal choice an…

大人の発達障害と大人になった発達障害

「大人の発達障害」が流行し、自ら精神科医療機関を受診する人は多いけども、支援の現場でお会いすることは少ないです。一方、「大人の年齢になった発達障害」の方への支援は困難を極めることがあるというテーマです。 「大人の発達障害」という言葉が使われ…

アルコール量のグラム表記

飲料メーカー各社がアルコール飲料におけるアルコールのグラム表記を行っていく方針で検討しているようです。 news.yahoo.co.jp アルコール飲料では通常、アルコール度数がパーセンテージで表記されています。 おそらく、これに加えてということだと思います…

アルコール使用障害の患者さんが「今のところ飲んでません」と言ったらどう反応するか

アルコール使用障害の患者さんが「今のところ飲んでません」と言ったら、どのように反応して言葉を返しますか? ”すごい!飲んでないんだ!”・・・? ”えらい!頑張ってる!”・・・? もちろん絶対に正しい答えも間違った答えもありません。 患者さんは相反…

「失踪日記」を読んでアルコール使用障害について考えた

私はあまり漫画を読みませんし、詳しくないですが、こちらの漫画が面白いと聞いたので読んでみました。 吾妻ひでおさんは、作品を生み出し続けるプレッシャーから突然失踪し、ホームレス生活を送った経験を持つ異色の漫画家だそうです。 また、重度のアルコ…

心理教育のコツ~テーマ設定~

Adherence Therapyのマニュアルを見ていくシリーズです。 PROCESS SKILLS Working collaboratively Set a clear agenda Emphasise personal choice and responsibility Enhanced self-efficacy Build self-esteem Safety 今日はSet a clear agendaについて。…

三つ子の肥満、将来まで

1歳6か月のBMIより、3歳のBMIが高いと、将来の肥満、メタボリックシンドロームを予測するという研究結果が報告されています。 我が家の長女(5歳)は好き嫌いをせず何でも食べる一方、食に執着しないというか、ご飯よりも遊びや読書を優先するタイプです…

心理教育のコツ~患者さんと協働する~

Adherence Therapyのマニュアルを見ていくシリーズです。 Inter Personal Skillsは終わったので、次はProcess Skillsに取り掛かります。 PROCESS SKILLS Working collaboratively Set a clear agenda Emphasise personal choice and responsibility Enhanced…

両面の聞き返し

今日の動機づけ面接(MI)勉強会では「両面の聞き返し」を取り上げました。 両面の聞き返しとはクライエントの両価性の両方(維持トークとチェンジトーク)を並列して伝え返すものです。 CL:「やめなきゃいけないのはわかってるけど、家に帰ったら飲んでし…

薬どのくらい余ってますか?

精神科では患者さんが薬を飲まなくなって再発するケースが多いので、スタッフは患者さんがちゃんと薬を飲んでいるかどうか確認することがあります。 1つはそれとなく確認する方法です。 昼薬がある人はデイケアで薬を飲めているか観察することがあります。 …

子供とステイホーム

ステイホームということで、子供と過ごす時間が増えたとか、家で過ごすからストレスとか、そういう話題が多いですよね。 昨年4月からの緊急事態宣言とそれに伴うステイホームのことを思い出したので書いていこうと思います。 うちは5歳の長女と1歳の次女…