怒りを向けられた時の応答2つ
もちろん病状のせいなのですが、精神科の患者さんというのは怒りっぽくなったり、イライラしやすくなったりする時がありますよね。
患者さんに怒りを表出されたとき、攻撃性を向けられた時の対応について、すべてではないし、正しいとは限りませんが、私がやっていることについて書いてみたいと思います。
動機づけ面接で言えば不協和への応答になりますが、不協和という概念などについてはまた違う機会に解説することとします。
一つ目の対応は謝罪です。これ以上関係を悪化させないことを目標にするなら、謝罪を表明することにためらいは必要ありません。こちらの行動や言動に対して相手が怒っている、気分を害している、その事実を率直に認めるべきです。
二つ目の対応は聞き返しです。患者さんの発言の奥にあるもの、なぜそのような発言になっているかを想像して返すことです。
患者さん:「お前ののバイク燃やしてやるからな!」
私:「それくらいしないと、怒りが収まらないということですね」
NG対応としては「そんな物騒なことは言ってはいけませんよ」などと諭したり、「そんなに怒るなんて具合が悪いんじゃないですか?」のような病状への帰結、「そんなこと言って、担当医にも報告しますよ」のような逆脅迫、などでしょうか。
謝罪や聞き返しを続け、ワントーン下がったな、と感じたら感情への聞き返しを入れます。
「〇〇さんの気分を悪くしたのは私です、私が言ったことで、自分を否定された気持ちだったんですね」
的外れな聞き返しでなければ、患者さんは「まあ、こっちも悪かったけども」などと言ってくれたりします。
ここでしめたと思って「悪いと思っているんですね」と反転攻勢に出るのはNG対応でしょう。
しっかり、「いえいえ、悪かったのはこちらです」とすることで、関係性を元に戻せるでしょう。
シビアな状況でも聞き返しを繰り出すには訓練が必要です。
ロールプレイなどで練習を重ねることで、臨床場面での突発的な事態にスキルの一部を活かせるようになります。