精神科OTのブログ(仮)

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精神科の作業療法士が知見や考えをシェアしています。

間違い指摘反射を抑える方法

今日は動機づけ面接のミニ勉強会がありました。

 

動機づけ面接を勉強したい、担当の患者さんへの対応に動機づけ面接を使いたい、という同僚の人たち数名とエクササイズやロールプレイ、リアルプレイ、ディスカッションを行っています。毎回、本当にいろいろな気づきがあります。

 

今日のテーマは前回から引き続き、拒薬する患者さんへの対応についての検討とロールプレイ。

 

このところ思うのは、統合失調症の服薬アドヒアランス改善に動機づけ面接を適応する場合、動機づけ面接の特徴である目標志向的要素(一貫してチェンジトークを強化する取り組み)は一度棚上げしたほうがいいのかな、と感じています。

 

というのも、困ったケースとして挙がる患者さんは大抵の場合治療関係に問題があり、両価性を扱う以前の状態にあるからです。

 

ここでは、患者さんの自律性を尊重し、協働的な関係性を保てるかどうかが課題となります。

 

そのために必要なことの一つとして、治療者側が間違い指摘反射を抑える、ということがあるでしょう。

 

患者さんが薬を飲みたくないとか、飲みたくない理由などを率直に表明してくれた時に、治療者は反射的に薬を飲む必要性を説いたり、そこまでしないまでも薬を飲むメリットに気づかせるべく方向付けようとしてしまいます。

 

それは患者さんのことを思ってのことなのですが、患者さんの考えを変えることにはつながりません。あるいは「どうせそう言うと思いましたよ」という気持ちにさせ、関係性を悪くすることになります。

 

間違い指摘反射を”抑える”は行動ではありませんね。ではどうしたらいいか。

 

私なりの答えの一つは、もっと詳しく聞き続ける、です。薬を飲みたくない理由を徹底的に深掘りし正確に共感することに集中。

 

もう一つは話題を変える、薬を飲む飲まないの論争から良い結果は生まれないわけだし、治療者側も辛くなります。治療者が辛い時は患者さんもたぶん辛いです。関係性を悪化させないことを重視し、話題を変えます。

 

今日の勉強会では、薬のことは棚上げし、協力できることはないか直接たずねる、という意見なども挙がりました。別に無いよって言われるかもしれませんが、少なくとも関係を悪化させることは無いと思います。悪化させない、少なくともマイナスにしないって大事だと思います。

 

それでも薬を飲む必要性を説明しなきゃいけない、立場上しないわけにはいかない、などの場合の方法は過去記事に書いています。

 

ioriiba.hatenablog.com