アルコール使用障害の患者さんが「今のところ飲んでません」と言ったらどう反応するか
アルコール使用障害の患者さんが「今のところ飲んでません」と言ったら、どのように反応して言葉を返しますか?
”すごい!飲んでないんだ!”・・・?
”えらい!頑張ってる!”・・・?
もちろん絶対に正しい答えも間違った答えもありません。
患者さんは相反する2つの気持ちが同居する、両価性を抱えています。
「飲みたい」と「飲まないでいたい」です。
患者さんはこの先ずっと止め続ける決意や自信を持っているわけではありません。
支援者が「飲まないでいたい」に加担しようとすれば、患者さんは容易に「飲みたい」に傾きます。
そこで、患者さんが使っている「飲んでない」という言葉はそのままよりも弱めて返したほうがよいと考えます。
”飲まないでみているんだ”
”飲まないのを試しているんだ”
などです。
長期的な断酒への期待などはさらさら無く、飲まないことを試している、今現在たまたま、実験中、という理解をしてますよ、というスタンスです。
質問なら、
”どうして飲まないことを試そうと思ったんですか?”
などとたずねます。きっと、患者さんなりの酒を飲まない理由(チェンジトーク)をはなしてくれます。
もうひとつ、ものすごい使える質問。
”辛くないですか?”
があります。
これは、私が考えたわけでなく、とあるお医者さんが文献の中で紹介している方法です。リファレンスが思い出せないので、別な機会にまた紹介しますが、とにかくめっちゃ使える質問で、患者さんが「酒飲んでない」と言ったら私は必ずこう聞くようにしています。
で、普通は「辛い」ので、辛い気持ちに寄り添うようにします。
そして辛さへの対処はできているのか、できていないとすれば、何かできることはありそうなのかをたずねたり、一緒に考えることができます。