子育てと応用行動分析
我々OTやいろいろな対人援助職の人々は、日頃、仕事で使う知識や技術を子育てにも使おうとすることがあると思います。
でもあまりうまくいかないことは多いですよね。
やっぱり家族だと感情が先走っちゃうからでしょうか。
そんな中で、成果を上げた介入もあったので報告します。1年前の緊急事態宣言で自粛していた時期のこと、当時まだ1歳になったばかりの次女が食事やおやつの度にお茶をぶちまけることが問題になっていました・・・。
以下、事例報告風に。
<目的>頻繁にお茶をこぼす健常な1歳女児に対し、タイムアウト(注1)手続きを用いたところ、お茶こぼし行動が消失したため報告する。
<方法>ベースライン期(注2)では1日3~4回、食事やおやつの時間にお茶をこぼした。行動観察より、お茶こぼしには感覚遊びの機能があるものと推定した。介入期にはお茶をこぼしたらすぐにその場から離し、拭き終えるまでのおよそ1分程度タイムアウトする随伴性(注3)を導入した。
<結果>タイムアウト導入後速やかにお茶こぼし行動は消失した。day9~11で復帰(注4)がみられたが、その後再び消失した。
<考察>行動の機能推定(注5)が妥当であり、タイムアウト手続きが有効だった。
注1 タイムアウト:ある行動の直後、本人が好んでいるものに接触することを禁止することで、その行動の頻度を減少させる手続き。
注2 ベースライン期:介入を行わないで行動を測定する期間。
注3 随伴性:個体の行動と環境の関連性。
注4 復帰:弱化された行動が再び出現すること。
注5 機能推定:ある行動が果たしている機能を推測すること。行動の機能は要求、逃避、注目、自己刺激、の4つ。
しかし、行動分析学の専門用語は多いし、難しいし、混乱しやすいですね。専門家でも用語の使い方や解釈が微妙に違うことが多いです。学会などでも気軽に議論しづらいな、と思います。
今回は問題行動を低減するために弱化の手続きを用いています。大声で叱るとか体罰のような嫌悪刺激を提示する方法ではありませんが、タイムアウトも子供にとっては嫌悪的だと思います。
弱化の手続きを用いる前に、
・環境調整(問題行動が起こりにくい設定に変える)
・分化強化(問題行動以外の行動を強化する)
・消去(問題行動の強化子を除去する)
などの方法をまずは検討し、どうしても効果が得られない場合に限って弱化を使うようにしなければなりません。