子育てとTSD法
当たり前のことですが、小さい子供は病院での処置を嫌がります。
侵襲性があり、痛い処置はなおさらです。
しかし、中には別に痛くもないんだけど、「何かされる!」っていうだけで拒否反応を起こしてしまう場合もあります。
子供になんらかの医療的処置を施す時に、特に小児歯科の領域でTSD法と呼ばれるテクニックで対応することがあるようです。
T…Tell:どんな処置をするのか、なぜそれをするのかなど言葉で説明。
S…Show:使う器具などを見せる。
D…Do:実際にやって見せる。
頭に入れておけば、歯科に限らずいろんな場面で使える方法だと思います。
応用行動分析の言葉で言えば、Tellは丁寧に教示をすることです。
子供の理解力って軽視しないほうがいいですよね。1歳~2歳くらいの子供を育てたことある人はわかると思いますが、彼らはうまく話すことはできなくても、こちらの言っていることは結構理解しています。
私の専門ではありませんが、知的障害やコミュニケーションに障害のある子供でも、「どうせ言ってもわからないだろう」ではなく、ちゃんと説明してあげることが大事だと思います。
ShowやDoは脱感作していく過程と言えそうです。
加えて、何か好きなものを一緒に提示する拮抗条件づけなども使うとよりスムーズ化もしれません。パパやママがそばについて声かけしたり、満を持してスマホの動画を見せたりしてもいいかもしれません。
あるいは、どうやったら安心して処置を受けられるか、子供自身にアイデアをたずねるのも良いと思います。
今日は長女の耳鼻科受診でした。
うちの長女(6歳になったばかりの年長さん)は滲出性中耳炎という病気で1歳の時から耳鼻科に通っています。鼓膜換気チューブというものを留置する手術も3回繰り返しています。
1か月前の定期受診では、留置していたチューブが脱落し、外耳道に落ちていたので取り出してしまおうということになったのですが・・・。長女、恐がって断固拒否。
前にもこんなことありました。
ということで、今日の受診では処置が受けられるようにやったことがTSD法でした。
まずはTell。耳の中の構造がどうなっているか、チューブがどこに落ちているかなどを図を描いて説明&家にあったピンセットと小物を使って処置のイメージを再現。長女「なーんだ!、ぜんぜんお耳洗うじゃないじゃん!」とのこと。何されるか分かってなかったみたいですね。確かに3歳くらいの時に無理やり抑えて、泣きながら耳洗浄されてたので、同じことされるんじゃないかと思ってたようです。
次にShowとDoこれも家にあった小物を使って練習しました。外耳に筒状の器具をあてがい、耳の中がカチャカチャする感じを再現しました。今日は診察室の中でも先生が使う道具をゆっくり見せてくれていました(今日は先生も余裕があった様子)。
大好きな鳥の本を持っていたので、処置の最中に気に入っているページを開いて見せようとしたところ、長女「笑って動いちゃうからダメ」とのこと、よくわかってますね。
いざとなると少し怖気づいていましたが、頑張って動かないようにしてくれ、無事チューブが取り出せました。
とりあえずうまくいってよかった。
「チューブ取ったよ、ぜんぜん痛くなかった!」と会う人にいちいち自慢。取れたチューブは今日の成果として家に持ち帰り、ママに見せていました。