精神科OTのブログ(仮)

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精神科の作業療法士が知見や考えをシェアしています。

動機づけ面接の存在価値は何か

動機づけ面接の話題で連投になりそうですが、今はそれが楽しいから良いかなと思っています。

 

今日は同僚にわからないことを質問したり、対話する時間を持ちました。

 

力動的精神療法と精神分析がどう違うのか質問したり、患者さんとの「関係性」という言葉をお互いに使うけれども、ニュアンスが違うような気がするのだが、それはいったいなんだ?

 といった話題になり、それはそれで有意義なものでした。

 

彼が持ち出してくれた疑問は、動機づけ面接は関わるプロセスが土台になっているというが、そもそも良い関係性があれば、患者さんは自ずと良い方向に向かうのではないか、変化に向かう発言(チェンジトーク)を引き出すプロセスが必須成分と言えるのか、というものでした。

 

確かにその通りだと思いました。というのも、動機づけ面接の半分はロジャースの来談者中心療法でできているからです。

 

ロジャースは無批判に受容的共感的に聴くことで、患者さんは自ずと問題を改善していくと考え、性善説に立っている人です。

 

それを究極的に言えば、動機づけ面接らしさを形作る目標志向的要素、つまり変化に向かう発言を引き出し、強める技術というのは・・・・・、別に必要ないんですよね。

 

そこにあえて動機づけ面接の存在価値を見出すとすれば、それはコスパなんじゃないかなって私は思います。

 

患者さんはいつか、自らの問題を自分で解決していくと信じたとしましょう。その道のりは時間がかかるかもしれないし、治療者が余計なことをして邪魔してしまうかもしれません。

 

動機づけ面接は、患者さんが自ずと良くなっていくプロセスを、邪魔しない技術(来談者中心的要素)と、目的地に早道できるようにガイドする技術(目標志向的要素)から成り立っているよ、と言い換えることもできそうです。