精神科OTのブログ(仮)

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精神科の作業療法士が知見や考えをシェアしています。

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

最近の楽しみ

先日、職場内での動機づけ面接ミニ勉強会の日でした。 私にとってはトレーナーとしての経験を積むためのチャンスでもあり、毎回、準備段階からとても楽しみにしています。 集まってくれるのは皆ベテランの同僚の人たち、貴重な時間をどう有効に使うかいつも…

動機づけ面接はどこから来たか

〇〇療法のようなものは、特定の理論から演繹的に説明するものがあります。 例えば精神分析的精神療法というのはフロイトの発達理論で説明しますよね。作業療法の分野で、例えば感覚統合療法はエアーズの感覚統合理論で説明します。 説明から仮説的構成概念…

教えたい反射を抑えるには?

今日はご近所の就労支援事業所で動機づけ面接の勉強会をさせていただきました。 昨年に一度ご依頼いただいて、続きもやってほしいと言ってもらえた時は大変うれしく思いました。 動機づけ面接トレーナーとしての経験はまだまだ未熟ですが、このような機会を…

アルコール使用障害の方への話題選び

アルコール使用障害の方に来ていただくグループを同僚とともに担当しています。 私が担当しているグループは心理教育でもなく、認知行動療法でもなく、言いっぱなし聞きっぱなしでもないものです。 強いて言えばグループ動機づけ面接の要素を少し取り入れて…

間違い指摘反射を抑える方法

今日は動機づけ面接のミニ勉強会がありました。 動機づけ面接を勉強したい、担当の患者さんへの対応に動機づけ面接を使いたい、という同僚の人たち数名とエクササイズやロールプレイ、リアルプレイ、ディスカッションを行っています。毎回、本当にいろいろな…

心理教育のコツ~サマライズ~

Adherence Therapyのマニュアル解説シリーズです。 INTERPERSONAL SKILLS Use the patient's words Open ended questions Reflective listening Summarising Elicit and respond to feedback 今日はSummarisingについて。 サマライズ、つまり患者さんが言っ…

子育てと認知行動療法

今日は長女の耳鼻科受診の日でした。 うちの長女は滲出性中耳炎という病気を繰り返していて、今まで3回も入院手術をしています。 ちょうど去年の今頃はまだ4歳。鼓膜の状態が悪くて外来でティンパノメトリーという検査をしなければいけませんでした。耳に…

怒りを向けられた時の応答2つ

もちろん病状のせいなのですが、精神科の患者さんというのは怒りっぽくなったり、イライラしやすくなったりする時がありますよね。 患者さんに怒りを表出されたとき、攻撃性を向けられた時の対応について、すべてではないし、正しいとは限りませんが、私がや…

教えるだけの心理教育はなぜ効果が無いか

教える、情報提供するだけの心理教育には、統合失調症の服薬アドヒアランスを向上する効果はないとされています。 ioriiba.hatenablog.com それはなぜなのか。 本来は中立であるべき情報提供が、患者さんを良い方向に導きたいという専門家の気持ちによって説…

説得にならない情報提供の仕方

「薬を飲んだほうがいいでしょう」 「酒をやめたほうがいいえしょう」 「子供に怒らないほうがいいでしょう」 書いてあるだけなら情報提供です。 でも、人に言われると説得になり、両価性の一方の肩を持たれると逆方向に行きたくなる、反発したくなる。 その…

集団で行う心理教育

多くの医療機関で行われるいわゆる心理教育というアプローチは集団を用いて行われるケースが多いでしょう。 ヤーロムが集団精神療法の治療因子を11個示していますが、これはたぶん、べつに根拠があるわけじゃないんだと思います。でも、「まあ、確かにそう…

心理教育のコツ~聞き返し~

Adherence Therapyより INTERPERSONAL SKILLS Use the patient's words Open ended questions Reflective listening Summarising Elicit and respond to feedback 今日はReflective listeningについて。 これは、受容的共感的な傾聴のスキルに直結するわけで…

自律性を尊重することの難しさ

今日は拒薬する患者さんのケース検討を行いました。 印象に残ったのは患者さんの自律性を尊重することの難しさです。 ・患者さんに起こっていることを精神障害に帰結するかしないか。 ・入院中はともかく退院後に実際に薬を飲むか飲まないか。 どうするかは…

話題にしづらいことを話題にする方法

オープンクエスチョンについての記事を書きましたが、関連して思いついたことを。 話題にしづらいことを話題にしなければいけないことはありますよね。 この患者さん退院したら薬飲まなそうなんだけど、どうやって話題にしようかな・・・とか。 1つの方法に…

心理教育のコツ~オープンクエスチョン~

INTERPERSONAL SKILLS Use the patient's words Open ended questions Reflective listening Summarising Elicit and respond to feedback 今日はOpen ended questionsについて。 開かれた質問のことで、あまり説明はいらないでしょう。 「はい」「いいえ」…

心理教育のコツ~患者さんが話す言葉を使おう~

GrayらのAdherence Therapyは動機づけ面接、認知行動療法、そしてKempらのCompliance Therapyをベースにした、服薬に関する患者さんとのコミュニケーションを構築するためのツールです。 その基盤となるす2つのスキルが面接スキルとプロセススキルであり、…

Adherece Therapy

Grayらも2002年に抗精神病薬のアドヒアランス向上を目的とした心理教育についてレビューしています。 「抗精神病薬のノンコンプライアンスはおよそ50%」とした上で、「教育は患者に対し、疾患と治療に関する知識は向上させるがコンプライアンスを向上するす…

教えるだけの心理教育は効果なし

2000年代初頭にいくつかのレビューが心理教育は統合失調症の服薬アドヒアランスを改善しないと示しました。 Dlder(2003)らのInterventions to improve antipsychotic medication adherence: review of recent literatureという論文から抜粋すると、以下の…

~統合失調症の服薬アドヒアランス改善に動機づけ面接を用いる~

動機づけ面接とは行動変容を支援するためのコミュニケーションスタイルのことです。 元はアルコール依存症など領域で開発されましたが、現在ではあらゆるヘルスケアの領域で応用されるようになりました。 動機づけ面接とはクライエント側により多く話しても…