精神科OTのブログ(仮)

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精神科の作業療法士が知見や考えをシェアしています。

「解釈」と「聞き返し」

今日も楽しい動機づけ面接ミニ勉強会でした。

 

今日のテーマは中核技術の聞き返しでした。

 

動機づけ面接第3版の中には、「聞き返しの技能は力動的精神療法における解釈のタイミングと似ていないこともない」とあります。

 

私はこの種の心理療法について何もわからないので、どの辺が似ているのかわかりませんでした。

 

そこで精神分析に詳しい同僚に、聞き返しと解釈の似ている点と違う点についてたずねてみました。

 

そもそもなんですが、力動的精神療法と精神分析ってだいたい同じものを指しているのかと思っていたのですが、まあまあ違うらしく、バスケとサッカーくらいの違いはあるそうです。知らなくてごめんなさい。

 

なので、精神分析の解釈と動機づけ面接の聞き返しの違いについて思うところを教えてもらいました。

 

彼によれば、どちらも共感を含み、話し手の自己理解を深めるという点では似ているのかな、とのこと。

 

一方、違う点として、①解釈は無意識という深いレベルについて言及するが、動機づけ面接の聞き返しは行動や出来事、あるいは比較的表層(前意識くらい?)にある考えに対するものなので、その深さという点で違うのではないか、とのこと。

 

また、②解釈というのは話し手の話を十分に聞き、聞き手の中での解釈が完全にまとまった段階で伝えるものであり、その繰り出し方も違うとのこと。

 

まあまあ、違うのかな・・・、特に②はけっこう違いますね。細かい技術の違いという以前に、面接における話し手の発話行動の捉え方自体が元から違う感じですね。こちらは過去記事へ。


ioriiba.hatenablog.com

 

 

 

①に関して言えば、動機づけ面接の聞き返しにも深さという軸があり、相手の言ったことを繰り返す単純な聞き返しよりも、相手の発言の奥にあるものへ言及する複雑な聞き返しの方が深いと考えます。

 

さらに、複雑な聞き返しの中でも、状況や出来事という観察可能なものへの聞き返しよりも、感情や価値観という目には見えないものへの聞き返しの方がより深いと考えます。

 

深さの次元が違うよ、無意識の方がもっと深いよ、と言われれば、まあそうなのかもしれないし、私自身が勉強不足な以上、議論はしにくいですね。

 

ただ、動機づけ面接を他の専門職の人に教えるなら、その人の背景や哲学を尊重することが大事かなと思います。

 

同じ言葉でも使い方や意味が違っていることもあるので注意が必要ということもあります。

 

教える立場だからといって自分の考えややり方を押し付けることなく、協働的に、自分も学ばせてもらうという姿勢をこれからも大事にしたいと思いました。