アルコール使用障害の方への話題選び
アルコール使用障害の方に来ていただくグループを同僚とともに担当しています。
私が担当しているグループは心理教育でもなく、認知行動療法でもなく、言いっぱなし聞きっぱなしでもないものです。
強いて言えばグループ動機づけ面接の要素を少し取り入れていて、できるだけ患者さん同士の交流を促進し、凝集性を高めることをねらいとしています。
患者さんには「お酒について安心して話すためのグループです」「やめるとか減らすとか、飲むとかは個人が決めることです」とご説明しています。
さて、はじめてグループに導入された患者さんは、何をさせられるのか、何を言われるのかと不安に思っています。
お酒について少したずねると、「退院したらやめようと思ってます」とか「もう大丈夫だと思います」などと当たり障りない発言をされます。
ここで「やっぱり飲みたい」とか「やめる自信は無い」とか正直に言ってしまって大丈夫なのか?と警戒されているのかもしれません。
ここで話題にしたいのは”お酒の良いところ”や”お酒が役立っている点”などです。お酒が果たしてきた機能は何だったのかというところにフォーカスしてみます。
それで、睡眠薬代わりに必要だったとか、ストレス解消や現実逃避のため、ネガティブな思考から逃れるため、などのお話になります。
なんとか今をやり過ごし、生きるための手段としてアルコールを多飲しているとも言えます。
さらに”もし飲まなかったらどうなっていたでしょう?”という問いをすることもあります。
「飲まなかったらとっくに死んでいる」と話す患者さんもいました。
このように、特にはじめての患者さんに対しては、飲みたいとかやめるのは難しいということも正直に、安心して語ってもらえる雰囲気を作ることを重視しています。